Googleは、Androidアプリの開発者に身元の確認とアプリの登録を求める開発者確認( Android Developer Verification)を導入しました。登録されていないアプリは、対象地域の認定 Android端末では、参加ストアからインストールできなくなります。2026年9月30日に4か国の7つのストアで開始され、2027年には認定 Android端末のすべてのアプリへ対象を広げる予定です。
⚠️ 2026年10月1日時点の情報に基づく記述です。制度の適用範囲は発表後に複数回変更されており、日本を対象とした個別の発表もありません。
開発者確認
開発者確認は、アプリの内容を審査する仕組みではなく、開発者の身元を確認する仕組みです。Googleはこれを空港での身分証明書の確認になぞらえ、確認するのは開発者が誰かであって、アプリの内容や入手元ではないと説明しています。開発者は身元の確認を受けたうえで、配布するアプリを自分のものとして Googleに登録します。
Googleの日本語ページでは「Android デベロッパーの確認」と表記され、登録を済ませていない開発者は「未確認のデベロッパー」と呼ばれています。
登録の区分
開発者のアカウントには、通常のアカウントと、配布先を限定した限定配信アカウントの2種類があります。
|
通常のアカウント |
限定配信アカウント |
|
|
身元確認 |
政府発行の身分証明書 |
身分証明書は不要 |
|
登録料 |
25ドル |
無料 |
|
配布先 |
制限なし |
最大20台 |
|
想定される利用者 |
制限なし |
学生、教師、趣味で開発を行う人 |
限定配信アカウントは配布先が20台に限られるため、不特定多数への配布には使えません。
Google Playで配布している開発者の多くは Play Consoleで身元確認を済ませており、Googleによれば Playのアプリの99%は自動で登録されています。組織のストアから管理対象の端末に配布される業務用アプリは、要件の対象外です。
対象となる端末
対象は、Android 8以降を搭載し、Googleの認定を受けた Android端末(認定 Android端末)です。登録の確認には、Googleのシステムサービスとして 2026年6月から端末に配信されている Android Developer Verifierが使われます。2026年9月30日の段階で要件が適用されるのは、スマートフォンとタブレットです。
Googleの認定を受けていない端末は対象に含まれないため、2019年5月16日以降に発売された Huaweiの端末や、Amazonの Fireタブレットなど Google Playストアを搭載していない端末、 LineageOSなどメーカー標準以外の OSに入れ替えた端末、 Googleのアプリを無許諾で搭載した一部の安価な端末は、開発者確認の制限を受けません。
適用範囲とスケジュール
開発者確認は段階的に導入されており、その過程で適用範囲が変更されています。
スケジュール
|
時期 |
内容 |
|
2025年8月25日 |
開発者確認を発表 |
|
2025年11月 |
早期アクセスを開始。高度なフローと限定配信アカウントの導入を発表 |
|
2026年3月30日 |
すべての開発者に登録の受付を開始 |
|
2026年6月 |
確認用のシステムサービス( Android Developer Verifier)の配信を開始 |
|
2026年8月 |
限定配信アカウントと高度なフローを全世界で提供開始 |
|
2026年9月30日 |
ブラジル、インドネシア、シンガポール、タイで、参加ストアからのインストールに適用 |
|
2027年 |
認定 Android端末のすべてのアプリへ、全世界で拡大する予定 |
適用範囲の変化
当初の発表では、Google Playだけでなく、他社のアプリストアからのインストールや APKファイルの直接インストールも含め、すべての配布経路のアプリが対象とされていました。2026年3月の時点でも、Googleは 9月30日以降、4か国の認定 Android端末では、入手元にかかわらずアプリのインストールと更新に登録が必要になると説明していました。
しかし、2026年6月の発表では、9月30日の段階で対象となる配布経路が、参加ストアからのインストールに絞られました。参加ストアは次の7つです。
Googleは 2026年 7月 15日に FAQを更新し、参加ストア以外のストアからの導入や、APKファイルの直接インストールには、この段階では要件が適用されないと明記しています。
⚠️ 4か国では APKファイルの直接インストールも通常の手順では導入できなくなると伝える報道がありますが、Googleの FAQの記述とは一致しません。
日本での適用
日本を対象とした個別の発表はありません。Googleは2027年に、認定 Android端末のすべてのアプリへ全世界で対象を広げるとしており、日本もこの拡大に含まれる予定です。
未確認のデベロッパーのアプリのインストール
要件が適用される場面でも、未確認のデベロッパーのアプリは、高度なフローまたは adbを使えばインストールできます。高度なフローは、[開発者向けオプション]で[未確認のデベロッパーのアプリを許可する]を有効にする手順で、有効にするまでに24時間の待機が必要です。
👉️ 高度なフローと adbによるインストールの手順については、下記ページを参照してください。

制限付き設定との違い
Android 13で導入された制限付き設定と混同されることがありますが、両者は別の仕組みです。
|
制限付き設定 |
開発者確認 |
|
|
対象の段階 |
インストール後の権限付与 |
インストールと更新 |
|
導入時期 |
Android 13(2022年) |
2026年9月30日から段階的に |
|
判定の基準 |
アプリのインストール方法 |
開発者の登録の有無 |
|
利用者による解除 |
[設定]から可能 |
高度なフローまたは adb |
👉️ 制限付き設定の仕組みと解除手順については、下記ページを参照してください。

アプリの入手経路と安全性
Googleは開発者確認の根拠として、サイドロードによる入手経路では Google Playの90倍以上のマルウェアが見つかったとする自社の分析を挙げています。ただし、比較の基準や算出方法は示されておらず、90倍という数字を検証することはできません。
Playストアのアプリと安全性
Playストアのアプリは Googleの審査を通過しているため安全だと認識されがちですが、審査を通過したアプリからマルウェアが発見される事例は継続的に報告されています。
2019年のデータを分析した研究では、Google Playは全インストールの87%を占め、マルウェアやアドウェアなどの不要なアプリのインストールでも最大の配布経路になっています。
外部アプリと安全性
オープンソースで開発されているアプリには、広告も情報収集も含まないものが少なくありません。F-Droidは、ソースコードが公開されたアプリだけを、そのソースコードから自らビルドして配布しています。
反対運動
オープンソースアプリの配布元である F-Droidは、2025年9月29日に開発者確認への反対の声明を公開しました。翌10月には、F-Droid理事の Marc Prud'hommeauxらが反対運動「Keep Android Open」を組織化し、2026年2月24日に Googleの経営陣に宛てて制度の撤回を求める公開書簡を公開しています。
公開書簡は、配布経路にかかわらず Googleがアプリの導入可否を管理する仕組みになる点や、開発者の個人情報が Googleに集約される点を問題としており、Electronic Frontier Foundation、Free Software Foundation、Tor Project、Proton AG、Braveなど、23か国の71組織が署名しています。
一方、Googleは、登録済みの開発者はどのストアでも直接配布でも自由にアプリを配布でき、経験のある利用者は高度なフローで未確認のデベロッパーのアプリもインストールできるとして、Androidの開放性は維持されると説明しています。しかし運動側は、高度なフローの強制的な手順と待機時間についても、利用者が自分で判断する能力を認めないものだと批判しています。
競争法との関係
開発者確認は、アプリの流通経路を Googleが管理する仕組みでもあるため、各国の競争法との関係が論点になります。2026年9月時点で、開発者確認を違法と判断した当局の決定は確認できていません。
日本では、Googleと Appleによるアプリストアの寡占状態への対策として、公正取引委員会が所管する「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」(スマホソフトウェア競争促進法)が2024年6月12日に成立し、2025年12月18日に全面施行されています。
2025年3月26日には、Apple Inc.、iTunes株式会社、Google LLCが同法の指定事業者となりました。同法7条1号は、第三者によるアプリストアの提供や、利用者が他事業者のアプリストアを利用することを妨げる行為を禁止しています。
ただし、同条の但書には、サイバーセキュリティの確保、プライバシー情報の保護、青少年の保護などの目的のために必要であり、かつ他の手段では目的の達成が困難な場合を例外とする規定があります。また、EUのデジタル市場法( DMA)6条4項にも、サイドロードと第三者アプリストアの許容を義務づけたうえで、セキュリティのための措置を例外として認める規定があり、開発者確認がセキュリティのために必要な措置と認められるかが今後の論点になります。
✏️ 開発者確認は日本でまだ適用されておらず、スマホソフトウェア競争促進法上の問題として顕在化していません。
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